西野敷物株式会社(大阪府堺市)

西野敷物株式会社

天保時代より作られている「堺緞通」など、マット・カーペット敷物製造の歴史を深めてきた大阪府堺市。
海外で大量生産された安価な商品も多く流通する時代となった現在においても、しっかりと日本のものづくりを行っている工場があります。

こちら西野敷物さんでは、熟練の技術によるミシン、何百本もの糸巻からカットパイルを基布に植え付けるタフト機などによってつくられています。
使われている機械はどれも20年、30年以上経つもの。
働く方々も、30年を超えるベテランです。

つくられるのはインテリアマットやトイレマット、トイレのフタカバー、チェアーラグなど。こちらでは基本的にタフト製法で作られています。
タフト製法とは、基布と呼ばれるベースの生地に、針でパイル糸を植え込むことでマットを作る製法です。

西野敷物株式会社

チェックなどの縦横の柄が得意なタフト機。

この機械の横には何百本の糸巻がならんでいて、それぞれがパイプの中をエアーで飛ばされ、天井を通り、タフトする1本1本の針のもとへ集合しています。

途中で糸が切れていたり抜けてしまうこともしばしばあるので、頻繁にタフト部分の糸と、タフトされて出てきた表面をチェックしなければならないそう。
それぞれの糸の位置に番号が振ってあり、糸が抜けてしまったらその糸をまたエアーで飛ばし、針穴に通してあげないといけません。
機械とはいえ、そういった人の手間がかけられているのです。

西野敷物株式会社 西野敷物株式会社

基布を裁断するまなざしは、真剣そのもの。

重ねた基布にチェアーラグの型をあて、ずれないように重しを乗せ縦刃の裁断機を動かしてカットしていきます。
手切りなので基布をたくさん重ねられ、型の形も柔軟に対応できるそう。

意識を集中させ、型のカーブと高速で動く刃を目で追います。
手慣れた様子で作業されますが、このずっしりとした機械で厚く重ねた基布を切っていくのは簡単ではありません。
この時重ねた基布は20枚ほどですが、普段は約50枚も重ねることもあるそうです。

西野敷物株式会社

ミシンは人の足で、フットペダルを踏んで操作します。
ミシンでマットをつくる際には、中身は1列ずつ直線にタフトしていきます。

踏み込み加減や基布を引く力で糸の密度や方向が変わってしまいますが、正確な位置に決まった本数を植えていかなければなりません。
しかも、ミシンにもそれぞれ癖があるそうです。
商品として世に出せるもの作れるようになるまでに、5年くらいはかかるといいます。
やり方がわかっていても自分の手や感覚で覚えなければできない仕事だから。

西野敷物株式会社

それぞれの列のはじも。カーブのタフトも絶妙に合わせられています。
長年の経験が可能にする技術です。

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